
(2008年 日本) 監督:押井 守
公式サイト:http://sky.crawlers.jp/
レディースデーを狙って朝から近所の映画館にて鑑賞する。朝一番の回だったので、観客の入りは2割といったところで、快適な映画鑑賞となった。
押井守監督作品といえば『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』と『イノセンス』しか観たことがないのだけれど、どちらも激しくツボだったので劇場に行かないわけにはいかない。実は『イノセンス』は二回も映画館に行き、DVDやサントラも買うほどに好きだった。
近未来、発達したプロペラ機に乗って戦闘を行うのは「キルドレ」たちである。「キルドレ」は15歳ぐらいの子供の姿のまま、成長しない。戦争の当事者は国家ではなく、"戦争請負会社"と呼ばれる企業が担っている。
主人公の優一が基地に赴任してくるところから物語は始まる。同僚のパイロットたちも、女性上官の草薙も「キルドレ」である。
初めて乗ったにも関わらずしっくりなじむ機体、自分のクセを知っている上司、観たことのある顔。何気ない台詞の中に伏線がねっとりと張られており、「たけくまメモ」にあったようにラストでするすると話の全容が見える構成は爽快だった。
「たけくまメモ」では"鬱映画"と評されていたけれど、エンドロールの後のシークエンスで、私は希望を感じることができた。
確かに戦闘機の空中戦も、淡々と出陣する「キルドレ」たちも、周囲の大人たちも、ラブストーリーも、明るい娼婦ですら、いずれもやるせない空気が漂っているのは押井監督の色だと思うけれど、最後の最後で「運命は円環ではなく螺旋」だと表現されていたように思う。
押井監督のことなので、どれほど原作の小説からいじっているのかはわからないけれど、明るい終わり方だったと思う。これは原作も読んでみる必要がありそうだ。
絵の感想。
人間は2D、空中戦は3DCGと混在しているのだけれど、案外と違和感なくまとまって見られる(単に私個人が『イノセンス』で慣れてしまったからかもしれないけど)。メカには詳しくないけれど、戦闘機の滑空するさまは気持ちよく、撃墜される光景も物悲しく美しい。
キャラクターの顔にコントラストの強い陰影をつけたり、大きく濃い瞳孔や光彩周辺の濃いエッジなど、キャラクターデザインがとても好みなのである。『イノセンス』と似た感じがあるなと思っていたら、作画監督が同じ人だったようだ。あんな風に力のある目を描きたいなと思った。
原作でどういう設定になっているのかは知らないけれど、背景のモチーフとしてアイルランドやポーランドが使われている。いずれも見慣れない風景だけど、どこかノスタルジックな雰囲気だったのもよかった。
そうそう、押井監督のキーアイテムも健在で、相変わらずバセットハウンドとオルゴールが出て来ている(ヒロインの名前が「草薙」というのはそのまますぎて笑ってしまったけれど)。
個人的にはとても満足な映画で、滅多に買わないパンフレットを買ってしまったほどだ。これはぜひKにも見せたいと思ったので、近々また映画館に行くことだろう。原作もいずれ読むつもり。
空戦の迫力は映画館でしか味わえないと思うので、ぜひ大きいスクリーンで観てほしい映画だった。
