ヘタクソなバイオリンでも、弾いている間は気持ちいい。
私の技術ではまったくもって表現の域に達していないので、ただ楽譜を追って音色に注意しながら弓を動かしているだけだ。でも、それだけに意識を集中できることの没頭感は、自分の内外にある玉石混合の膨大な情報をシャットアウトできるので気持ちいい。のめりこんでいるのか現実逃避なのか、判断はつかないけれど。
物言わぬ楽器は、こちらの手の動きに忠実に反応して音を出す。かまえて弓をおろすまでは、ずっとケースの中で静かに待っている。人形に恋するよりは、楽器に恋する方がまだ健康的だわね。人形のほうが支配欲は満たされるけれど。
いまだスズキの2巻だけれど、次にやる曲はブラームスなので嬉しい。
バイオリンを始めてから、それまではさほど好きではなかった作曲家の曲でも、実際に弾いてみてその素晴らしさに気付く事が多い。バッハなどは私にとってその典型で、「荘厳だけど退屈だな」と思って弾いてみたら、実際はしびれるほどにかっこいい。さすがは音楽の父だ。
それでは好きな曲ならどれほどに楽しいことだろうか。たどたどしくも、家で練習する日々。