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『グッドフェローズ』

グッドフェローズ
(1990年 アメリカ)監督:マーティン・スコセッシ

 デニーロが『タクシー・ドライバー』のスコセッシ監督と再度組んだ作品。とはいえ、主人公はレイ・リオッタ演ずるヘンリーで、デニーロはその兄貴分役のジミーを演じている。

 かいつまむと、少年時代からマフィアに憧れた主人公ヘンリーが、実際にマフィアとなって成功と没落を味わう成長物語。ただし、実話が元になっているからか、登場するのは『ゴッド・ファーザー』のように“かっこよく渋いマフィア”像ではなく、あくまで現実的なアメリカのチンピラの世界だ。

 みどころは二つ。

 一つはマフィアの権力による繁栄。警察は当然、刑務所ですら抱き込んであり、投獄されてもオマール海老やステーキを毎日調理して食べられるほどだ。あまつさえ、看守の部屋を借りてドラッグの密売を行ったりもする。また、金遣いも当然派手で、あらゆる物事が金と銃で解決されてゆく。どこでも並ぶ必要はなく、10ドル紙幣を数枚渡すだけで人気のレストランではすぐにいい席に案内してもらえる。妻はことあるごとに札束をねだり、愛人はあてがわれた住宅に女友達を招いて高級な家具や内装を自慢する。

 もう一つは彼らのもろい関係だ。基本的に理知的な人間は皆無なので、簡単に裏切り、殺し合い、絆が深いゆえに常にお互いを疑い合う。そこがとてもリアルで、仲間を信頼しながらも同じぐらいに警戒して怯える様が、さりげなく凄みを出している。例えば、主人公の妻が兄貴分のデニーロに「ディオールのドレスがあっちにあるんだ」と路地に案内されるくだり。「そこそこ、そこをまっすぐ」と、路地の奥を進むように後ろから指図するデニーロ。しかし行けども行けども寂れた路地しかなく、その奥にはチンピラたちがにやにやと笑って立っている。「やっぱり、いらないわ!」と危険に気付いた妻は慌てて車に飛び乗って逃げる。その間、デニーロはずっと笑顔だ。現実のマフィアは手の込んだ真似をせずに、笑顔で近づいてきていきなり手を下す冷酷さが描かれている。

 物語の最後も、些細なヘマと身から出たサビで、主人公は警察とマフィアの両方に追われる身となる。最後に主人公が取った解決策は、お世辞にもかっこよいとは言えず、自分の命を守るにはなりふりかまっていられない点が強調される。それが結果的に仲間を裏切ることになろうとも。

 主人公とデニーロ、そしてジョー・ペシ演ずる短気なチンピラは仲間であり、お互いを“グッドフェローズ”と呼んで連帯意識を高めていた。だが、それも結局は上辺だけであり、内実は疑心暗鬼の塊だ。その言葉の皮肉な空しさが、リアリティをいっそう高める。

 数年ぶりに見たが、映画の中で約20年の時間が流れるので古さは感じない。逆に、小道具や美術、衣装など、そのときどきの風俗も含めて楽しめることを発見した。デニーロの髪が白くなっていき、老眼鏡のようなメガネをかけるようになるのが凝っている。その老眼鏡が、裏切りの怖さも演出しているのが上手いと思う。

 全体にテンポよく長回しや音楽が使われており、2時間30分の長尺をまったく感じさせない仕上がりだ。特に音楽はセンスがよく、その時代にあったヒット曲が効果的に使われている。なぜか、我が家にはサントラがあるほどだ。

 マフィア映画が好きな人にはぜひおすすめしいたい一本。

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2006年7月 3日 23:02に投稿されたエントリーのページです。

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