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最近の読書。金子光晴および椎名誠のSF。

今読んでいるものは金子光晴の「ねむれ巴里」。
タイトルがパリなのに、まだまだ舞台はクアラルンプール。
なぜか諸葛亮の南蛮侵攻が比喩として出てくるのが面白い。
やはり、三国志は基礎知識として知っておく必要がありそうだ
(いつも途中で挫折しているので、半端な知識しかないけれど)。
さほど厚い本ではなく、するすると読めるのだが、
改行がほとんど無いので、実は文字量はかなりある。
それだけ楽しみが持続するということなので、喜んで寝床で読んでいる毎日。
読み終えたら、あらためて感想を書こう。

さて新聞の広告欄で椎名誠が新刊を出したことを知る。
タイトルは『砲艦銀鼠号』。登場人物は灰汁(あく)、可児(かに)……ということは、
これはもしかしなくとも名作『武装島田倉庫』の続編(?)ではないか!

椎名誠のSF三部作『アド・バード』、『水域』、「武装島田倉庫』、
どれも高校時代に大好きだった小説たちだ。
SFなのにピカピカした雰囲気は無く、むしろ錆や木っ端や廃墟に囲まれ、
登場する固有名詞もカタカナではなくあくまで日本語で、
日本のなれの果てのような、日本の異父弟のような世界が舞台である。
思い出したら楽しくなってしまったので、簡単な説明を。


アド・バード

ふたつの広告会社によって行われた広告戦争の結果、人間が住めなくなった世界。
改造されて人間の脳髄を埋められ、永遠に広告を発する生物が徘徊する中、
主人公マサルと弟の菊丸は父を探しに出かける。これが『アド・バード』。

初読のとき、よもや自分が広告業界(の端くれ)で暮らすことになるとは夢にも思わず、
今読み返すと、また違った見え方をするのが面白い。
とはいえ、主人公が少年なので普通に冒険小説としても楽しめる。
※ちなみにハードカバーの方が表題ロゴがかっこいいのでおすすめ。
 たむらしげる氏の装画もステキ。


水域

『水域』。すべてが水に沈んだ世界、人々は船に乗って“水域”で生活している。
産業などは何もなく、物々交換か釣りか、過去の遺物を拾う日々。
怪異な生物、ツバハキウツボ、スソガラミ、サキヌマドクタラシ。
主人公ハルが出会う事件。悪人、善人。廃墟となったホテルは建物の先端だけを水の上に覗かせる。

個人的にはその前編といえる短編『雨がやんだら』が怖くて大好きなのだが、
『水域』の方がエンターテイメント性が上がっている。
※ちなみに『雨がやんだら』は雨が降り続く世界の女の子の日記の体裁をとっている。
ただの長雨だと思われていたのに徐々に危機感が増大していく。
それを女の子のそっけない文体が淡々と描写し続けるのがさらに怖い。


武装島田倉庫

そして『武装島田倉庫』。近未来、主人公・可児(かに)が島田倉庫に就職したところから始まる連作中篇集。
白拍子と呼ばれる略奪武装組織から自衛するために島田倉庫は武装し、巨大装甲車は山道を駆け巡る。
北政府は“知り玉”を飛ばして人々を監視する。生物は異常進化し、人々に襲いかかる。

なにが素晴らしいって、独特の名詞群だ。地名だけでもすばらしい。
泥濘湾(でいねいわん)、総崩川(みなくずれがわ)、肋堰(あばらダム)。
あぁ、わくわくする。


一番好きなのが『武装島田倉庫』だったので、この新作の報はとても嬉しい。
金子光晴の次に読むのはこれに決定。もちろん、『武装島田倉庫』から再読する。

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2006年6月 9日 12:03に投稿されたエントリーのページです。

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