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『昼顔』ジョゼフ・ケッセル

カトリーヌ・ドヌーヴの代表的主演映画の原作という程度の認識しかない状態で読んだ。
最近はなぜか日本人作家の作品よりも翻訳物の方が読みやすく、多少古い文体のこの本も楽しく読めた。
翻訳だと過剰な文章装飾が行われにくいせいだろうか。

舞台は1920年代後半のパリ。
第一次大戦後とアール・ヌーヴォーが去り、バウハウスができてアール・デコがやってきた時代。
同時にダダイズムとシュルレアリスムが生まれた頃。もうすぐロシア構成主義も流行するのだ。
ガブリエル・シャネルも服を作り始めているが、まだシャネルスーツは完成していない。
資産家の夫人達はコルセットをとっくに脱ぎ捨て、パリ・オートクチュールが黄金期を迎える。
世界恐慌と第二次大戦を目前に控え、富裕層の文化は華やかに競うように咲き誇る。

主人公はそんな時代の裕福な医者の妻、セブリーヌ。
傍目には満ち足りていた彼女は、自分が持っていなかったものに気づく。
彼女は「昼顔」となることでそれを得られるのだが、代償も大きいものだった。
それは、本編の最後の一文を読んだときにぞっとしたほど大きい。
その後が書かれていないだけに想像をかきたてられる。
「家庭を壊した女」に心当たりがあるだけに、肩がこわばるほどだ。

しかし、彼女の心の動きを追うのはとても面白かった。
すべてを円満におさめるには、彼女では足りない部分が多かったのだ。
それは、判断力だったり、機転だったり、他者の感情に対する想像力だったり。

ドヌーヴ主演の映画は未見だったが、監督がルイス・ブニュエルと知り、俄然見たくなった。
どうやらシュールな映画らしい。なにせ、シュルレアリストでダリの親友だったブニュエルだけに。
映画『昼顔』の撮影は『アンダルシアの犬』から約40年後なので、
かなり後者とはおもむきが異なるものだろうと思われる。
ドヌーヴが大物女優なおかげでレンタル屋にあるだろうから、いずれ借りて見てみよう。

ちなみに新潮文庫版は絶版。私は古本屋で購入した。
現在は電子書籍化されており、下記のページから購入可能。
http://books.bitway.ne.jp/shop/mt-list_thum/trid-auth/ccid-auth_ka/sort-new/auid-2540/start-1.html

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2005年9月 5日 00:50に投稿されたエントリーのページです。

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